アルビノ
ほんとの気持ちはどれだろう。
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店には無数の布が垂れ下がっていた。
見つけた。
私の、1番好きな色。
薄くて、くすんでなくて、青味がかった紫。
でもごわごわしていたからやめた。
店員に訊くと、違う素材の物もあるらしい。
いくつか並べられたが、私は迷わずふわふわしたのを選んだ。
父は値札を見て苦笑したが、買ってくれた。

1番好きな色。
1番好きな素材。
1番好きな、最高の、ひざ掛け。
あまりに気に入った私はそれに「もこ」と名づけた。
包装をぴりぴり剥がすだけで幸せの匂いを感じた。

次の日、私が帰ると父がもこを使っていた。
私が怒って注意しようとした途端のこと。
父の煙草の灰がもこに落ちた。
もこは円く焦げた。
父は謝ったが、「パパが買ったんだから」とか何とか言っているが、
それより、何よりもこ。
はじっこに小さな、黒く縮れた穴が開いた。

完璧な色の、完璧な素材の、最高の、私のお気に入りの、もこ。
そのもこが、焦げてしまった。
そこは違う色に焦げ、違う素材に溶けた。
もこは、私のもこではなくなった。
もこを見る。こんな色だったかしら。
もこを抱く。こんな肌触りだったかしら。
暫くそうした後、もこを黒いゴミ袋に詰め込んだ。
父は止めたが、私の目を見て諦めた。

その後父とは3ヶ月、口を利かなかった。
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