アルビノ
ほんとの気持ちはどれだろう。
上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。


****
応援ありがとうございます。
FC2Blog Ranking


雨が嫌いな訳じゃない、と思う。
だが考えてみれば体調が芳しくないのは大抵雨の日だ。
今日は足の傷が痛むと思ったら、霧雨が降ってきた。
気もあまり進まないが、他にやることもないのでいつもの時間に出た。
傘がなかった。
そういえば雨の日は外に出ないからもうずっと使っていなかった。
しっとり濡れたまま入ろうとするとドアからぬっと白い腕が突き出た。
薄いタオルを無言でくれたのだ。
僕はそれを無愛想に受け取り、さっと身体を拭った。
今日も先を越された。
あの子は一体何時にこの店に来るのだろうかと思う。
何となく話しかけづらくて黙っていたら、通いだしてもう1ヶ月が過ぎてしまった。
今日も、変わらず僕もあの子もただその店にいた。

古ぼけた、あまり綺麗とは言えない骨董品店。
別にこういう趣味はない。
店の主人と親しい仲でもなく、特別居心地のよい空間な訳でもない。
たまたま入ったこの店に何となく吸い付いてしまったようだ。
初めて来た日にもあの子はいた。
色白で細身の、全く喋らない女の子。
手入れをすれば綺麗だろう長い黒髪のせいで顔はあまり見たことがない。
ここの主人とは似ても似つかないので、親戚でもないだろう。
最近気がついたのだが、いつも同じブレスレットをしていた。
大事なものなのかもしれない。

いつの間にか知らない商品があった。
こういう店はあまり品が変わらないのでふと目に留まった。
それは梟の木彫りの置物で、不必要な程大きかった。
割と古いらしく、それがいい味を出していた。
大きくぎょろついた瞳が無言で見つめてくる。
目新しいせいか思わずしゃがみこんで観察していた。
それほど退屈な店なのだ。

ふと後ろに熱気を感じ振り返ると、
その少女が梟のように突っ立っていた。
下から見上げて初めてその目を見ることができた。
地味な一重瞼だが、
妙な目力というか存在感のようなもので胸を貫かれた。

何も言わない。
ただずっと見つめ合う。
睨むでもなく、かと言って好意的なわけでもなく、
当たり前のように、純粋に目を合わせていた。

梟のような娘だと思った。
そして気づいた。
自分もこの子と同じ梟なのだと。
同じ暗闇を住処としているからこそ、
これほどまで違和感なく同じ場にいられるのだと。

癒された訳でもない。
興じた訳でもない。
ただ何となく、これからもこの店に通うのだろうと感じた。
スポンサーサイト


****
応援ありがとうございます。
FC2Blog Ranking


この記事へのコメント
コメントを投稿する
URL:
Comment:
Pass:
秘密: 管理者にだけ表示を許可する
 
トラックバック
この記事のトラックバックURL
http://whichkimochi.blog107.fc2.com/tb.php/1352-9aa53e0d
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)
この記事へのトラックバック
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。